もしもダンガンロンパだったら(第5話




琶月
「うっ・・・・うぅぅ・・・・。」

凄く体がだるい・・・。
風邪を引いている時のような・・・。
いや、それ以上だ。インフルエンザを患って熱が40℃くらいある。それくらいに匹敵する体のだるさ・・・・。
体や服がちょっと濡れてる。凄い発汗だ。何か・・・悪夢を見て目覚めた感じ。
手を少し動かすとベッドのシーツに触っている事が分った。

・・・そっか、今私ベッドの上で寝ているんだ。

ん?

・・・・ベッドの上で?

おかしいな、昨日は確か・・・・。

琶月
「・・・・・・・・・・・はっ!!!」

その事に気が付いた瞬間、一気に意識が覚醒した。
私はすぐに起き上がり辺りを見回した。視界がぼんやりとしているが徐々に視線の先が定まっていく。
汗びっしょりの私の額を腕で拭い大きく深呼吸する。

・・・変だ。何だか、凄く変なにおいがする。

琶月
「何この臭い・・・。」

ようやく視界が定まったその時。
私の部屋の片隅に何者かが倒れている事に気が付いた。


師匠だ。



師匠の心臓にあの黄金の模擬刀が突き刺さっており血を流して壁にもたれかかっている。



琶月
「あぁっ・・・ぁっ・・あああっっっ!!!!」




琶月
「うわあああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁああああああああああぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!」




叫んだ。

腹の底から私は叫んだ。

目の前の光景が信じられないでいる。
そ、そんな!!そんな!!!!!!!!!!

自分の頭を抱えてパニック状態に陥る。
何を、今何をどうすればいいのか分らない!!師匠に近づく!?いや、その前に助けを!!
だが、その時自分にも不自然な状況下にあった事に気が付いた。

琶月
「は、はひっ・・!!?」

自分の服が血でびっしょりと濡れている。
服や体の濡れは汗なんかではなかった。真っ赤な血で服が染まり体も濡らしていた。
その事に気が付くと再び私の視界はグニャグニャとねじ曲がり、同様に思考もぐちゃぐちゃな物へと変わっていった。
どうしてこんな事に!?何で!!?何で師匠が私の部屋に飾り立てていた模擬刀で胸を貫かれ、血を流して倒れている!!?
そして何で私も服や体が血で濡れている!!?まさか私も怪我負っている!!!!??

とにかく血を洗い流さないと!!!怪我、怪我を確かめないと!!
私はすぐに洗面台へ転がり込むように駆け込むと、蛇口をひねって水を出そうとした。
ところがいくら蛇口をひねっても水は出る気配がない。

琶月
「ど、どう、どうして!!・・どうして・・・!!」

完全に正常な思考を失った私が次にとった行動は再び叫んだことだった。洗面台から出てただひたすら、部屋の中央で叫び続けた。
これが夢なら早く覚めて・・・!!覚めて!!!!
何も行動できず、ただ叫んでいると誰かが部屋にやってきた。

キュピル
「どうした!!!・・・・うっ、こ、これは・・・!!!琶月、そこから絶対に動くな!いや、廊下に来い!」
琶月
「い、いやだ・・!!!やだやだやだ!!!師匠から離れたくない!!!!!」
キュピル
「くそ、わかった!そこの部屋にいていいが絶対に輝月に触れたり物に触れたりするな!いいな!?」

それだけキュピルが言うと私の部屋から離れ、皆のドアを乱暴に叩いて起こし始めた。



・・・時刻は6時。



夜時間に起きた出来事だった。

私が認識したことはここまで。
そこで私は情けないことにまた意識を手放してしまった・・・。

ただ、意識を失う直前。私はモノクマのアナウンスを聞いたような気がしてきた。


『死体が発見されました!一定の操作時間の後、『学級裁判』を開きます!』




・・・・。

・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・。




琶月
「うっ・・・うぅぅ・・・・。」

ついさっき同じような事を呻きながら目が覚めたような気がする。

ジェスター
「キュ~~!琶月が起きたよー!」
キュー
「あ・・・おきた・・・!?大丈夫?琶月!」
琶月
「あ・・・はい・・・。・・・えっと・・・ここ・・・は・・・?」
キュー
「ここは・・体育館だよ。」

私はキューの手を借りて体を起こした。私が起きた場所は体育館で、そこには全員が集まっていた。
きょろきょろと辺りを見渡した次に私は自分の体を調べた。
・・・見たことない服を着ていた。

キュー
「ほら・・・血が凄かったからちょっと私の服に着替えさせたんだけど・・・・。怪我はしてなかったから安心していいよ・・。
琶月が凄い大声で叫んだ後、キュピルが皆を起こしに回って・・・。私が来た時には琶月、もう一度気絶しちゃってたみたい・・・。ここにはキュピルが運んでくれたんだけど大丈夫?」
琶月
「・・・あれは・・・夢じゃ・・・ない・・・?・・・し、師匠は!!!?」

私は体育館全体を見渡しが、そこには師匠の姿はない。
私が涙目になると、重々しい空気の中ギーンが口を開いた。

ギーン
「輝月は死んだ。」
琶月
「ひっ・・・ぅっ・・はぁっ・・・!!?」

再び視界が歪む。

私にとって・・・・。

何よりも・・・。

何よりも・・・。

どんな何よりも大切な存在だった師匠が・・・・。

死んだっ・・・!!!



脳裏に、私の部屋の角で血を流して壁にもたれ掛っていた師匠の姿が蘇った。
胸に突き刺さった黄金の刀・・・。

生きているはずがない。

でも、それを否定したかった。

私はすぐに立ち上がりもう一度自分の部屋に行こうとした。だがそれをディバンが私の腕を掴んで引き止めた。

ディバン
「どこへ行くつもりだ。」
琶月
「決まっているじゃないですか!!!し、師匠を・・・師匠を助けないとっ!!!!」

ギーン
「散々確かめたのだ。輝月は間違いなく死んでいた。この俺が断言してやろう。」

それを聞いた私は、涙が勝手に溢れ始めその場に弱弱しく座り込んですすり泣く事しかできなかった。

琶月
「ひぐっ・・うっく・・・なんで・・・なんで師匠がぁ・・・。
・・・お、お願いだから・・・ぐずっ・・・私の部屋に行かせて・・・。師匠に・・・・寄り添っていてあげたい・・・。
大体・・ぅっ・・・何で体育っ・・かん・・に・・・。」

しゃっくり混じりで私は問いかける。

テルミット
「僕たちだって・・・好きで体育館に居る訳ではありません。でも・・・モノクマが体育館に集まるように命じたんです。」
ディバン
「勿論俺達は反論した。・・・人が死んだという状況の中、何故体育館に集まらなければならなかったのだ・・・っと。・・・だが・・・。」
キュピル
「俺が体育館に集まるようにみんなに提案をした。・・・忘れな。俺達は囚われの身なんだ。無暗に敵に逆らうような真似をすれば、更なる犠牲者を増やす恐れだってある。
・・・辛いが、我慢してくれ。」
琶月
「ぐずっ・・ひっく・・・・し、師匠は・・・師匠はきっと・・・モノクマに殺されたんだっ・・!!こんな酷い事出来るの・・・モノクマしかいないっ・・・!!
あのDVDだって・・・!!!」


「違うよ。僕はそんな事しないよ。」


突如、体育館の祭壇の上でモノクマが跳ねながら現れた。
祭壇の上に置いてある壇上に乗っかると、立ててあったマイクを奪い取るように手に持つと数回のマイクテストを経た後に喋りはじめた。

モノクマ
「僕はそんな事は絶対にしません!大事な事だから二回言っておくよ?」
琶月
「モ、モノクマッ・・・!!!そ、そんなの誰が信じるものですかっ・・・!!!」
モノクマ
「あのね、僕はこの学園生活の趣旨に反するような事は決してしません!僕ってクマ一倍ルールにはうるさいってサファリパークでも有名だったんだから~!」
キュー
「あ、あんたが犯人じゃないとしたら・・他に誰がやったって言うの!!」

キューが問い詰めるように鋭い目をしながらモノクマに歩み寄る。
だがモノクマがゲラゲラと下品な笑い方を数回した後に大きな声で喋った。

モノクマ
「わかっている癖に~。輝月を殺したのはお前等の中の誰かじゃん!!」

モノクマのそう言い放った瞬間。場の空気が一気に凍りつき、互いが互いを疑うよう目つきで辺りを見回し始めた。
だがその疑いの眼差しの殆どは私に向けられているような気がする・・・・。

モノクマ
はれはれ?まさか、本当に気が付いていなかったとか言わないよね?でも、安心していいよ。お前等の誰かが、卒業のために輝月を殺しただけ!それがルールだし、別に悪い事じゃないよ?」
ヘル
「人を殺すのが悪い事じゃねぇだと?あぁっ!!?」
ルイ
「私たちの中の誰かが人を殺したなんて・・・嘘です!!」
モノクマ
「いや、殺したのはお前等のなかの誰かだよ。それは当の本人がよーく知っているはずだけどね。」

すぐに皆が自分自身の弁明をし始めた。

ボロ
「いい、い、言っておくっすけど俺じゃねぇっすから!!」
ヴィックス
「お、おれもだ!!」
ガムナ
「ついでに俺も!!」
ヘル
「ついでって怪しいな。」
ガムナ
「な、何言うんだって!!お、お前こそ!何か馬鹿力で人殺めてそうじゃねぇか!」
ディバン
「馬鹿な事を言うな!」
ギーン
「静かにしろ。」

ギーンが物静かに注意すると、辺りは一瞬で静かになった。
そして一歩、モノクマに歩み寄ると殺意のこもった眼を向けながら問いかけはじめた。

ギーン
「おい、俺達の中に殺人者がいるんだとしたらその犯人はここから卒業出来るんだな?」

それを聞いたモノクマが腹を抱えながら大笑いし始める。

ギーン
「何がおかしい!」
モノクマ
「うぷぷぷぷ、ぶひゃひゃひゃひゃ!そんなの大アマだよ!デビルあまだよ!地獄アマだよ!むしろ本番はここからじゃん?
人を殺せばすぐに卒業出来ると思った?残念!世の中はそんなに甘くありません!!では、ここで卒業に関する補足ルールの説明を始めます。」
ルイ
「補足ルール・・・ですか?」
テルミット
「それは・・・校則にも書いてある『自分が殺人を犯した黒だと他の生徒に知られてはならない』という点について言っているのですか?」
モノクマ
「そう!ただ殺すだけではだめなの。他の生徒に知られないように殺さなければならなないの。」
ギーン
「完全犯罪を成立させろって事だな?」
モノクマ
「その通り。それを査定するために、殺人が起きた一定時間後に必ず学級裁判を開くこととします!」
琶月
「学級・・・裁判?」
モノクマ
「学級裁判では犯人、黒は誰であるかをお前らに議論してもらいます。そこでお前らが導き出した答えが正解だった場合には秩序を乱した黒だけがおしおきとなります。
もし間違った場合は逆に残った白全員がおしおきされてしまいます!以上、これが学級裁判のルールなのです。簡単でしょ?」
キュー
「え、えーっとさ・・・。さっきから言っているその、おしおきってのは・・・。」
モノクマ
「あぁ。簡単に言えば処刑ってところかな。」
ルイ
「しょ、処刑・・・!!?」
ジェスター
「処刑って何のこと?」
モノクマ
「処刑は処刑だよ。しょ・け・い!電気椅子でビリビリ、毒ガスでもくもく、ハリケーンなんちゃらで体がばらったりとかって奴だよ!つまり死んじゃうの!」
ジェスター
「し、死んじゃう・・・んだ・・・。」
テルミット
「は、犯人を外せば・・・僕達全員が・・・処刑されてしまう・・・んですか・・・!!?」
モノクマ
「いいね、かしこいチンパンジーだね。さりげなく自分が犯人じゃないっていう小技もGood!つまり裁判員制度って奴だよ。」
キュー
「こんなの滅茶苦茶だ!!」
モノクマ
「はぁ?」
キュー
「私は絶対にそんなのやらないよ!!殺し合いも、学級裁判とかいうのも、そっちで勝手に一人でやって!!もう私はこんなの嫌だ!!!」
モノクマ
「そんな身勝手な!」
キュー
「身勝手なのはそっちだ!!文句があるんだったらかかってきなよ!!」
キュピル
「おい、やめろ!」
モノクマ
「目の前の圧倒的な悪の迫力に正直ぶるってる・・・。だ、だけどな!僕は悪に屈する気はない!!
最後まで戦い抜くのがモノクマ流よ!どうしても通りたければ僕を倒してからにしろ~~!!」

そういうとモノクマは檀上から飛び降りて、とてとてと幼児走りしながらキューへと近づく。キュピルがキューを静止させようと走り寄るがその前にキューがモノクマを踏みつけてしまった。

キュー
「これで満足?」
モノクマ
「そっちこそ!学園長ことモノクマへの暴力は禁じる。校則違反だと言ったはずだよね!!
召喚魔法を発動する!助けてグングニルの槍!!」
キュピル
「避けろ!!!!」

キュピルが咄嗟に飛びつきキューを突き飛ばす。
それと同時にさっきまでキューが立っていた場所に無数の槍が出現しキュピルの右腕へと何十本もの槍が突き刺さっていく。

キュピル
「うぐっ!がぁっっ!!!」
キュー
「っっ・・!!」

骨の砕けるような音。肉を突き破っていくような音。
周りの誰もが目を瞑り、両手で耳を閉じる。
しばらくして、槍は引っ込み、穴の空いた腕から血が大量に零れ落ちていく。

ガムナ
「う、うわぁぁっ!!!!」
ボロ
「な、なんすかこれ!!?」
キュー
「ほ、本気・・・ほ、本気で殺しにきた・・・!!!」
ルイ
「キュ、キュピルさん!!!!」

ルイとファンがキュピルに駆け寄って腕の様子を確認し始める。
それを余所にモノクマが祭壇へと戻りながら全員に問いかけた。

モノクマ
「あーあ、一度ならず二度までも殺しそこねちゃうなんてなぁ。見せしめは必要だと思ったんだけど・・・片腕失くしただけでも十分かな。キューはキュピルに感謝しなよ?
何にしても、これでお前等もわかってくれたよね?僕は本気だよ。

誰ももうモノクマに逆らう気持ちは持っていなかった。
また逆らったら、今度はさっきみたいにはいかないだろう。確実に殺しに来る。

モノクマ
「じゃ、そろそろ捜査を始める皆に、僕からプレゼントでーす。
じゃーん!ザ・モノクマファイルゥ~。これは死体が発見される度に僕が手作業で作っているファイルです!」
ギーン
「なんだ、そいつは。」
モノクマ
「お前等は所詮素人じゃん?刑事だとかプロじゃないんだから、死体を調べるにも限界があると思ったんだよねぇ。
だから監視カメラで常に監視している僕が、被害者がどうやって殺されたのか簡単にまとめてあるファイルです!
これを見れば死体の外傷とか調べずに済むから感謝してよ~?」
ギーン
「おい、ついでに聞いておきたいがジャッジは公正に下されるのだろうな?」
モノクマ
「勿論だよ!先生はズルする奴は許しません!!」
キュピル
「公正さだけはしっかりするんだな。」
モノクマ
「当たり前だよ。こういうのはルールを守ってこそだから。」

モノクマが全員に黒いファイルを配ると、再び檀上に上って皆に手を振り始める。

モノクマ
「じゃ、捜査を頑張ってくださいね!では後程学級裁判でお会いしましょう~。」

そう言い残すとモノクマは姿を突如姿を消した。


・・・。

・・・・・・・・・・。


この中にいる誰かが・・・。
人を殺したと言う事実・・・。

しかもその人物を突き止めなければ、他の全員が処刑されてしまう・・・。

互いが互いに、疑いの目を向けざるを得ない状況化・・・。
最悪の状況だった・・・。

キュー
「キュ、キュピル・・・。さっきは・・・ごめん・・・・。」
キュピル
「別にいい・・・。幸いにも右腕だけで済んだ。」
キュー
「み、右腕だけ・・・?だけじゃないよ!!わ、私のせいで・・・キュピルの右腕が・・・。」
ファン
「私はキュピルさんと付き添って怪我の様子を見ておきます。みなさんは学級裁判のために捜査を始めてください。」
ギーン
「待て。その前にいくつか決めておこう。」
テルミット
「決める事・・・ですか?」
ギーン
「そうだ。この中に犯人がいるとすれば事件現場に細工を加えるかもしれん。
そうなれば俺達は真相から離れることになる。まずはそれを阻止せねばならん。」
ヘル
「なら俺が事件現場を監視してやる。考えるのは苦手だしな。」
ギーン
「お前が犯人だったらどうする?」
ヘル
「あぁっ!!?」
ディバン
「なら俺も事件現場に残ろう。二人で現場を見張っていれば片方が黒だったとしても細工は出来ないはずだ。」
ギーン
「それでいい。」
ヘル
「へっ、俺は先に言っているぞ。」
ディバン
「俺も失礼する。」

そういうと二人は足早に体育館から去って行った。

ヴィックス
「おい・・・。今モノクマからもらったモノクマファイルを読んでいるんだけどよ・・。
死体発見現場は琶月の個室だってな。琶月・・・お前まさか・・!!」
琶月
「違います!!私は絶対に師匠を殺したりなんかしません!!!!」
ギーン
「はっ、どうだろうな。友情に付け込んで油断させた隙にグサリとやったのやもしれん。」
キュー
「ちょっと!!あんたは一生黙っていて!!」
ギーン
「キュピルが居なければ死んでいた奴が何を言う。」

キューはそれ以上ギーンに反論はせず、ただきつい目つきで睨みつけるだけだった。

ギーン
「お前の服にこびりついていた血も、お前が怪我した事による血かと思ったが輝月を殺した返り血なのかもしれんな。」
琶月
「だ、だから違います・・・・。」

本当に違う事は違うともっと大きな声で反論出来ればよかったのに
私はただ、弱弱しい声で反論する事しかできなかった。

ギーン
「ふん、何にしてもお前等と一緒に調査する気はない。くくっ、さて、このゲームを楽しませてもらおうか。」

そういうとギーンは体育館から去っていた。

ヴィックス
「・・・俺達も三人で調査を続けるか。・・・早い所犯人と離れたい。」

そういうとヴィックスが疑いのまなざしを私に向けてきた。

琶月
「だ、だから・・・私じゃ・・・」
ボロ
「今はあんたの言う事信じられないっす。」
ガムナ
「・・・人殺しめ。」

ガムナの言葉がぐさりと私の胸に突き刺さる。
・・・辛い。・・・とても・・・辛い・・・。
ただでさえ、師匠を失ったっという事を再認識するだけでまた気を失いそうになるのに・・・。
何故私が疑われなければいけないのか・・・・。

私は顔を下に向け、拳を震わせながらただ黙って突っ立っていた。
そのまま軽蔑の眼差しを私に向けながら三人は去って行った・・・。

テルミット
「・・・では、私も調査を・・・はじめてきます。琶月さん、あまり落ち込まないように・・・って無理・・・ですよね・・・。」

テルミットはそれだけ言うと同様に体育館から去って行った。

ルイ
「・・・私はファンさんと一緒に体育館に残ってキュピルさんの容体を見ています。」
キュピル
「すまないけどルイ。ちょっと布か何かを持ってきてくれ・・・。止血する。」
ルイ
「お、お任せ下さい!」

そういうとルイは自分の来ている上着を脱ぎシャツを露出させる。
脱いだ上着をキュピルの右腕をきつく締め付け止血を試みる。
ルイが止血を試みている間にファンが私に近づいてきた。

ファン
「琶月さん。とりあえずモノクマファイルを見たらいかがですか?」
琶月
「あ・・・そ、そうだね・・・。」

私は受け取ったモノクマファイルを開き、内容に目を向けた。

『被害者は輝月。死亡時刻は午前1時40分頃。
死体発見場となったのは寄宿舎エリアにある琶月の個室。
被害者はその一室の角で死亡していた。
致命傷は心臓への刺し傷。
その他、右肩に打撃痕あり。打撃痕がついたと同時に骨にヒビが入った模様。』

それなりに事細かく内容が書かれていた。
確かに、これだけの情報があれば死体について深く調べる必要はなさそうだ。
これは学級裁判でも使える時が来るかもしれない。

[言魂:モノクマファイル1]

琶月
「(これがあってよかった・・・。死んだ師匠の死体を調べるなんて…そんな事・・・私にはできません・・・・。)」
ファン
「琶月さん。」
琶月
「は、はい?」
ファン
「よかったら、これどうぞ。」

そういうとファンは手帳を私に差し出した。

ファン
「私が最初に琶月さんの部屋に入り込んだ時にその時の状況をメモしたものです。
後で良く読んでおくと何かの役に立つかもしれません。」
琶月
「あ、ありがとうございます!」

今はこれを元に捜査をしよう。


琶月
「(なんとかして突き止めないと・・・。私や皆が生き残るために・・・。
・・・そして師匠のためにも・・・。絶対に師匠を殺した奴を突きとめてやる!!)」


私は心に固く決意を結ぶと足早に体育館から去っていた。



続く



追伸

ベースはゲームの方にして作っていますが会話は短縮されたアニメ中心です。
表記もちょっとゲームandアニメっぽく。


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